~バンコクへの旅~

「旅はコーヒーみたいなもの」もうずいぶん昔になるが米国に住んでいた時に聞いた友人の言葉。要は常習性があるということ。私にとって15、6年ぶりになる10日に及ぶ異国での滞在、そこには懐かしくも新鮮な時間が流れていました。
少し長くなりますが、その様子を前編・後編に分けてお話いたしますね。

前編《茶会準備》

東京で桜が咲き誇っていた3月末、バンコクで迎えてくれたのは国花のゴールデンシャワー(トップページの写真)。今回この街を訪れたのはバンコク在住の友人の依頼を受け、伊勢丹バンコク店でこの時期行われるSAKURA FESTIVALの一環として茶席を担当させていただくことになったため。社中のみなさんにも募り私含め5名が東京から、そしてバンコクに赴任している信頼する仲間が加わり中心メンバーに。

私は一足早く1週間前に現地入り。建水、銘々皿そして汲出しになるような器を探すべく到着早々街へ繰り出しました。発展は目覚ましいものの相変わらずの混沌とした街。そんな熱気に懐かしさを感じながらまずは週末マーケットの骨董売り場へ。早くも建水になりそうな銀の器を発見するも少々予算超え。それでも諦めきれず結局値段交渉の末なんとか入手。その他のものも骨董狙いで何軒も骨董品店を回るものの数や金額の折り合いがつかず、こだわりのありそうな雑貨屋さんにシフト。路地にあるKOONという名の小さな可愛らしいお店、なんと店主はタイのエネルギーがお好きとおっしゃる日本人男性。そのお店で今回の茶席にぴったりな宋胡録(江戸時代の茶人でも流行したスコータイ近郊の焼物)を見つけることができました。焼物の話をはじめ、他愛もないおしゃべりにまでおつき合いくださり「まだ大好きなマンゴーを食べていないんです」と言うと近所の屋台でマンゴーまで買って来てくださって。共同経営者(?)のタイの方には茶会当日のタイ語の挨拶文までチェックしていただきました。旅ならではの素敵な出会いに心から感謝!

こうして楽しくも忙しい日々を過ごし、いよいよ茶会前日。この日は伊勢丹のキッチンをお借りして当日のお菓子作り。割当の時間は2時間のみ、急いで準備を始め作業を開始。シンガポールに立ち寄っていたお弟子さんも加わりなんとか無事に完成!銘は「隅田川」。16、7年前、チャオプラヤを初めて見たとき、子供の頃の活気ある隅田川を思い出し意匠を考えました。桜並木に見立てた桜の羊羹を入れ都鳥(ゆりかもめ)を飛ばしたなかなかの自信作。タイのお客様も喜んでくださると良いのですが。

~後編に続く~

2016/04/24

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