~茶事で感じる季節のうつろい~

稽古のその先には「茶事」という茶の湯のひとつの形があって(あるいは「茶事」のために稽古はあって)その楽しみを最近あらためて感じています。
先日(平成26年初秋)、口切りの茶事に4日間で約20名のお弟子さんをお招きし心を込めて濃茶を練りました。茶事と言ってもお弟子さんを対象に稽古茶事のような形で進めています。1席に5名のお弟子さんをお招きし、懐石の作法も含めて流れを少しずつ学びながら。

幸いこの稽古場がある東銀座は築地にも近く、台所で共に料理を担当してくださるお弟子さん達と場内で新鮮な魚を調達したりしています。献立も皆さんと決めることもありますし、四苦八苦しながらもなんとか美味しいく新鮮なものを、と色々考えながら準備を進めます。

普段のお茶の稽古や道具組からも、もちろん季節を感じる事はできるのですが、ここ「東京」は、どちらかというと季節感の乏しい街かもしれません。季節を肌で感じる、ということはなかなか難しい事もあります。茶事を始めてから特に印象に残るのは、そんな都会のど真ん中に居ても、食材を通して季節というものをとても身近に感じられるということでしょうか。前回の向付、蓮根とごぼうの胡桃和えや合鴨団子の煮物椀もなかなか美味しくでき、秋を感じる笑顔の嬉しい一日でした。

今年はどんな食材に出会えるのか、どんな空気が茶室に生まれるのか、とても楽しみにしています。

2015/02/11

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