~京焼、真葛窯を訪ねて~

稽古場の皆さんと行く旅行会も早7回目。今年は京焼の窯元「真葛窯」の見学を主に、早朝座禅体験、伏見の蔵元見学など、盛りだくさんの内容となりました。

9月28日、夏の名残を感じる京の空、強い日差しのなか東山区の坂を上って行くと6代続く御窯元の玄関にかかる「真葛」の暖簾。早めに着いたので外で待っていると、当代の御窯元が着流しに袱紗を着けられお顔をお出しくださいました。柔和でお優しそうなお顔を拝見し、緊張した私たちの心がほっとほどけていくのを感じました。

京焼の窯元に伺うのは私自身も初めてのこと。自国の文化や伝統についてはどうしても「知っている」気分になるものですが、改めて勉強してみるとそのほとんどの知識が足りていないことを痛感するのが常。今回も京焼の歴史や成立ち、その奥深さに触れ、改めて「知る」ことの楽しみを感じ、少し大げさかもしれませんが、しみじみとこの国に生まれてこうして私たちの歴史を勉強できることの喜びを噛み締めた経験となりました。

御窯元が御亭主、奥様がお茶を点ててくださり、息子さんの真一さんと職人さんがお茶をお出しくださいました。この日のためにご用意くださった秋の訪れを感じるお道具の数々、お菓子、温かいお心づくしを皆でゆっくりと堪能させていただきました。その後、横浜真葛も含めた歴代の貴重なお道具を拝見し、京焼についてお話いただき、真一さんのご案内で工房も興味深く拝見させていただきました。たっぷりお時間とっていただき、本当に貴重な経験をさせていただいた土曜日の午後になりました。

夜は、日本酒の美味しい割烹居酒屋で日本酒三昧。真葛窯の娘さんでいらっしゃり陶版画作家の尚子さんもご一緒くださり楽しいひととき。いち早く土瓶蒸しもいただき、鱧しゃぶにも舌鼓、充実した一日の締めくくりです。

翌日は朝5時起床、圓光寺にて座禅体験。朝の優しい光の入る座禅堂にて住職のやわらかくも厳しい言葉に皆覚悟を決め座禅を組みました。なにぶんにもほとんどの人にとり初めての経験、邪念に捉われてばかりの約40分でしたが清々しい朝となりました。その後場所を変わり住職とともに粥を頂戴しましたが、茶の湯の懐石とのつながりを肌で感じた食事で、改めて茶の湯の勉強というのは畳の上だけではないことを知ることのできた朝の体験となりました。

一歩外に出て、その土地の土を踏みしめ五感を研ぎ澄ませて何事をも心で感じる、旅から得るものは本当に多いものだと感謝しながら帰路につきました。はて来年は何処へ。

2013/11/03

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